ACL予選2・全北現代戦(アウェー)
「新化」する鹿島を見せて貰ったいい試合だった。先制された時、去年の惨劇が頭をよぎったが、終わってみれば鮮やかな逆転勝利。強さを感じる一戦でした。本当に嬉しい。
全北現代(チョンボク・ヒュンデ)は様子見だったのか、ゆったりとした立ち上がり。鹿島も同じく受ける形で、お互いに手の内を探り合うような雰囲気でしたが、それでも相手の寄せの速さ、球際の強さ、パス回しの速さと正確さ、最終ラインの統率力には、今までにない強さを感じた。特にルイス、エニーニョといったブラジル人がうまくて、気を抜けばやられるなという予感はあった。
サイドバックが控え気味だった鹿島は、中盤より前の運動量で攻撃を組み立てていたが、やはり堅固なDF陣を崩し切れない。それでもこぼれ球から中田のシュートや、野沢のシュートが相手に当たってポスト直撃など惜しいチャンスはあった。アウェーで勝ち点を取るということを考えれば悪くない試合運び。
しかし前半終了間際、中央の縦パスから始まった6本のワンタッチパスを華麗につながれ、まったくついていけずにエニーニョに決められ失点。「あんな崩され方をしたのは初めて」とは伊野波の談話だが、本当にそう思った。観ている側としては相手の強さに気落ちしたものだけど、伊野波は逆に綺麗に決められ過ぎてショックもなかったそうだ。
後半に入っても鹿島は特に攻め急ぐ気配もなく、丁寧かつ粘り強くプレーしていた。小笠原のループパスを興梠が決め損ねた時にはラストチャンスを逃した気さえしたけども、60分過ぎたくらいから相手の運動量がガクンと落ちて、いけるかなという雰囲気になる。曽ヶ端のビッグセーブも大きかった。
セットプレーを得た鹿島は野沢が蹴り、こぼれたボールをフェリペが拾ってDF越しに山なりのキラーパス。オフサイドトラップをかけた相手DF陣の裏を取り、ワントラップして右足でシュート。相手をかすめてゴール右上に突き刺さり同点ゴール。興梠は多分オフサイドポジションだったと思うが、フェリペもよく見ていたし、中田も冷静に決めてくれた。
自分としてはこの強い相手にアウェーで勝ち点1を取れれば上出来と思っていたが、最後にドラマが待っている。同点後、明らかに現代寄りになった判定で、いつPKを取られてもおかしくなかったが、鹿島の集中力も切れなかった。
早く交代枠を使ってくれとジリジリしながら待っていた86分、ようやく遠藤とジウトンが同時投入(OUTフェリペ、新井場) 右サイドで内田と小笠原がプレスをかけてボールを奪うと、前線にスルーパス。走り込んだ遠藤がトラップで更にDFの間を突き進み、右足でシュート。GKの右をかすめてゴール左に入って激的な逆転弾となりました。
MVPはビッグセーブの曽ヶ端、逆転弾の遠藤、走り回ったマルキーニョスと色々挙げられそうですが、自分としては小笠原につけたい。去年のACL敗退の責任を取るという決意を感じた。守備でも貢献し、長短のパスで相手を翻弄、常に得点につながるパスを狙っていた。キャプテンの意地を見た気がします。
(以下、個人的まとめ)
【ACL予選2】(全州ワールドカップスタジアム19:00KickOff鹿島/雨一時雪)
【スコア】全北現代 1-2 鹿島 (前1-0 後0-2)
【主審】コバレンコ(ウズベキスタン)、ミロノフ、ブカチン
【得点】
(現)前42分 イ・ドンググ→エニーニョ 1左
(鹿)後25分 フェリペ・ガブリエル↑中田 2右
(鹿)後45分 小笠原→遠藤 1右
【警告】
(鹿)マルキーニョス1(前33分)、岩政1(後26分)、中田2(後37分)
(現)キム・カンシク1(前23分)、チョンフン2(後10分)
【出場】
GK 曽ヶ端
DF 内田 岩政 伊野波 新井場→86ジウトン
MF 中田 c小笠原 野沢→91青木 フェリペ・ガブリエル→86遠藤
FW マルキーニョス 興梠
【MyMVP】小笠原