嫌らしく、つまらないサッカーが強いのか
26節広島のホームで2-0と敗れた新潟の柳下監督が「悔しいですね。何故かと言うと、あんなつまんないサッカーに負けたのが悔しい」とコメント。
公の場で言ってしまっていいものかそのへんは置いておくとして、大いに納得。ベタ引きでカウンターだけ狙って勝つというのは立派な戦略だが、上位のチームがやって受け入れられるサッカーじゃないのかもしれない。甲府のように残留に向けて勝ち点1でももぎ取る、というのとはちょっと違う気がする。
広島の青山は「逆にうれしいですね。僕たちは相手の嫌がることをやろうと思っている。それができていたということ」と言ったが、本気で言っているなら結構なメンタリティだ。相手にそう思われているということは、勝っても尊敬されるわけじゃないのだから。
もっとも勝つことが前提なので、勝てばそれが正解とも言える。
首位のマリノスだって相当につまらなく嫌らしい。セットプレーに時間をかけ、べったり守って攻撃はほぼマルキーニョスと中村俊のプレースキック頼み。相手よりも少ないシュート数で勝つ。
効率がいいと言えばいいが、負けたら「強かったなー」ではなく、「あんなつまらんサッカーに・・」となる。
たとえば鹿島がそんなふうに面白くないサッカーで勝ち点を稼いで首位を独走していたとしたら・・。
やっぱり「面白くないな」と文句を言いつつも、勝ってナンボのスポーツの世界。もっと攻めて欲しいと要望なするだろうが、結果としては満足かもしれない。
ようは負けている以上、「嫌らしい」「つまらん」としか言えないのが、余計に腹立たしいのかも。青山のコメント通りに。
だからこそマリノスを撃破した22節は、ことのほか気持ちよかったんだが。
つまらんサッカーをする以上、負けは許されないというのは、それはそれで大変なことかもしれない。
かつてプロ野球では中日ドラゴンズを落合博満氏が率いていた。まさに効率よく采配し、ノーヒットピッチングをしているピッチャーでも9回に交代する。怪我をしても不利になるからという理由で詳細は公表もしない。WBCですら選手の派遣を拒否。
ここまで徹底して確かに強かったのだが、次第に人気は落ちていき、スタンドも空席が目立つようになってきた。そして任期満了で交代。強さと人気は比例しなかった。
プロであると同時にエンターテイメントであるがゆえに、観客を喜ばせられるような演出やサービスも必要ということなのだろう。
マリノスや広島が勝ち続けているうちは勿論、応援している人たちには支持されるだろう。サッカーの世界では「守って勝つ」というのもアリだ。
ただ、優勝を逃した時、サッカーを変えていくのか、それを続けて頂点を目指すのか。興味はある。どうなるか見てみるためには打ち勝つしかない。
名古屋のように個の能力でねじ伏せるサッカーも好きじゃないが、ひたすら守ってというのも好みじゃない。このまま簡単に逃がしてはなるまい。
逆転優勝で、鹿島は鹿島の求める強さを証明したい。