開幕は大型補強対決
クォンスンテの加入で、過去最大の大型補強が完成した鹿島。
間違いなくオフシーズンの優勝と言えるほどで、いつもは浦和に譲りっぱなしのその座を奪ったことに、嬉しさよりも歯がゆい想いも勝っていて、正直、今までの鹿島とは違う方向性に戸惑いはある。
とはいえ現実問題、悲願のACL優勝、優勝賞金が大幅アップしたリーグ制覇、ルヴァン杯や天皇杯まで視野に入れるとなれば補強はやらなければどうしようもない。
これからは分厚い陣容で各タイトルを獲り、そこで得た賞金で更なる戦力アップを図るという、いわゆるビッグクラブを作るという目的へとかじ取りしていかなければならず、これも時代、と受け入れざるを得ない。
次々と大物選手を加入させ、チーム全体を底上げしていくなかでも、ユース出身を始めとする生え抜き選手が頭角を現し、実力でレギュラーを奪い取ってくれることを願う。
そんなわけで柴崎の動向は現時点で未定ながらも、大幅戦力アップとなった鹿島と開幕で対戦するのは、鹿島と同等の大型補強を行ったFC東京というのは狙ってやったことなのか、実に興味深いカードとなった。
FC東京は林、太田、高萩、永井、大久保と各ポジションに補強を加えてタレントが揃った。出て行った方も榎本、権田、駒野、高橋秀、水沼、平山とトップクラスだが、もともと選手層は厚く、鹿島との対決は、どちらがより早く新戦力を融合させたかという勝負にもなるだろう。
この対決はチームの融合力を試す意味でも是非とも勝利したいし、開幕という点においても勝って勢いをつけねばならない試合でもある。
鹿島、FC東京についでいい補強を行ったという印象があるのが、大宮、神戸。浦和もしっかりと選手を獲っているが、例年に比べておとなしく、ガンバに至ってはほぼ目立った動きはなし。
大宮は茨田、長谷川アーリアジャスール、大前と数こそ少ないが的確に補強し、昨年以上に手強い相手になりそうな予感。なかでも大前は鹿島キラーでもあるし。
神戸は噂のポドルスキ次第かとも思うが、高橋秀人、田中順也と即戦力が加入し、脅威は増すだろう。
ポドルスキに関しては、サッカーは一人でするわけではないのでこういう補強は個人的には好きではない。話題にはなるだろうが戦力として上積みになるかは難しく、フォルランのような失敗で終わるケースも有り得る。
Jリーグ発足当時ならレベル差もあっただろうが、今は日本人選手もそこまで負けていないので、個の力だけでは限界があるように思う。
ただ、浦和にいた頃のワシントンとポンテは二人だけで得点出来る力があっただけに、あのくらい活躍されてしまうと手を焼くだろうが。
移籍金は8億円とも6億円とも言われているが、神戸側は3億6000万を用意との報道もあって幅が広い。しかし、それとは別に3年契約で年俸が9億6000万円とか、日本ではいまどきのプロ野球選手でも一部の選手くらいしか貰っていない給料。
費用対効果という点では経済効果を含めても元を取れるかどうかわからず、少なくとも鹿島はそんな無謀な博打を打って欲しくない。さすがに格差があり過ぎてチームの和も乱れる。
神戸がポドルスキを獲得出来るのか、そして、獲得出来たとして無双するほど活躍出来るのか。よそごととして観るぶんには、興味がそそられる話ではある。
ん?だとすると神戸の注目度も高まっているわけだし、この時点でも既に効果があったのかもしれない。