小笠原満男が現役引退
小笠原満男が現役を引退すると覚悟はしていたが、いざ現実のものとなると寂しい。
思えば、自分が鹿島を本格的に好きになったのは小笠原と本山、中田らが加入した頃だった。
それまではなんとなく応援するくらいの気持ちで、実際あまりテレビでも放送していなかったのだが、二人の加入で俄然応援の熱が高まり、衛星放送でやっていれば録画を頼んでビデオテープ(懐かし)を取りに行ったり、スカパーでやるようになったら契約したり。
小笠原がチームの中心となり始めた頃はループでキーパーの頭を抜くゴールを何度も見せてくれたが、ここ数年、久しく見なくなった。最後のゴールがいつだったか忘れたが、一番印象に残っているのは観戦に行った長居スタジアム、セレッソ戦でのハーフライン付近からのロングシュートゴール。
綺麗な放物線を描いて相手ゴールに突き刺さったあの瞬間の感動は、いつまでも色褪せない。
あとは2001年チャンピオンシップ磐田戦の第2戦の延長Vゴールのフリーキック。あれも歴史に残るゴールだった。
自分の中ではアントラーズと言えば小笠原、最初の頃に真面目に観ていなかったぶん、ジーコに匹敵する鹿島の象徴とも言える。
昨年のリーグ終盤の2試合、レオシルバにポジションを奪われて、チームも勝てずに優勝を逃した。実際、小笠原が出ていたら勝てたかどうかはわからないが、ピッチに立っていて欲しかった。
その後のバラエティ番組で川崎の中村憲吾に「おめでとう」と言った後、「悔しいよ」と呟いたあの言葉は本気だった。
本人も期するものがあっただろう今季、大岩の起用法は頑なに三竿健(弟)とレオシルバで、二人のコンディションがどれだけ悪かろうが怪我でさえなければそちらを起用、ほとんど出場機会もなかった。
勿論、プロの世界、実力勝負であるからして若手に超えさせないプレーを披露していられれば、出場機会はもっとあったかもしれない。衰えがあったのも事実、見た目以上に膝の具合も悪かったらしい。
ただ、まだやれると思っていた。思っていたかった。
現役続行を希望するなら下位カテゴリーのクラブからのオファーもあるかもしれないし、1~2年は中心選手としてやっていけるかもしれない。それでも小笠原は引退を決意した。鹿島での引退を決意した。その選択を心から支持する。潔い、小笠原らしい身の引き方だと思う。
感謝しかない。
鹿島魂を誰が継承するのか不安は大きいが、残してくれた財産はあると信じたい。
多分、本人はガラじゃないからと言ってやりそうにもないが、いつの日か監督として鹿島に戻って来てくれたらなと、かすかに期待だけしておく。
引退セレモニーとかはないのかな。ないならないで小笠原らしいが。
本当にお疲れ様でした。